現在展示されている奇跡の一本松について、「全部プラスチックのレプリカではないか」という疑問の声が上がることがあります。真相を正確に言えば、現在の姿は本物の幹を活用したハイブリッド保存モニュメントです。
モニュメント化にあたっては、まず2012年9月に幹を伐採し、5分割して内部をくり抜く作業が行われました。幹の腐食を防ぐために特殊な樹脂を含浸・乾燥処理し、中央に強固な金属製(炭素繊維複合)の心骨パイプを通すことで耐震性と耐候性を確保しています。一方で、乾燥によってボロボロと崩れてしまう枝葉部分については、元の枝から型を取った耐候性の高い樹脂製レプリカが取り付けられました。つまり、幹自体は津波を耐えた「本物の木」であり、枝葉に精密な再現加工が施されています。
この保存プロジェクトに投じられた費用は約1億5000万円にのぼります。一部で「復興予算の無駄遣いではないか」という批判的な声が上がったこともありましたが、この保存費用は市税や国の震災復興予算ではなく、国内外から寄せられた「奇跡の一本松保存募金」などの民間寄付金によって全額が賄われました。世界中からの祈りと善意が、一本松を今ある姿として固定化させたのです。