丸池湧水の水面に立つと、水深数メートル下の水草の揺らめきや泳ぐ魚、さらには底の白砂が湧水によって舞い上がる様子まで、まるで宙に浮いているかのようにクリアに見通すことができます。なぜ、これほどの透明度が保たれているのでしょうか。
その秘密は、背後にそびえる霧島連山の火山性地質にあります。霧島山系に降り注いだ膨大な雨水は、幾重にも重なる溶岩層や火山灰層(シラス台地)、多孔質の砂礫層へと浸透します。この地層が天然の超高性能フィルターの役割を果たし、不純物や微粒子を徹底的にろ過しながら、岩盤に含まれる良質なミネラル分をバランスよく溶かし込んでいきます。
地質調査や自治体の資料によると、山に降った雨が地下を浸透し、丸池湧水として地表に噴き出すまでにはおよそ数十年もの歳月がかかっていると推計されています。年間を通じて水温は約17度前後でほぼ一定に保たれており、夏は冷たく、冬は温かく感じられるのも特徴です。一日あたり約6万トン、町民の生活用水や周辺の農業用水を潤してもなお余りある豊かな水量は、自然が創り出した巨大な貯水・ろ過システムが生んだ奇跡といえます。