インターネット上の掲示板やSNSでは、育成契約に対して「球団がコストカットのために選手を虐げている」「実質的なクビ宣告である」といった極端な意見が散見されます。しかし、現場の取材を通じて見える景色は、単純な善悪二元論ではありません。
第1の誤解は「育成契約=戦力外通告と同じ」という見方です。真の戦力外通告であれば、球団は施設の使用やリハビリの帯同すら認めず即座に契約を解除します。育成契約の提示は、球団が「費用(トレーニング環境・コーチングスタッフ・寮の提供)を投じてでも、まだ戦力化の可能性がある」と判断した明確な投資意思の表れです。
第2の誤解は「育成契約は選手にとって搾取でしかない」という点です。確かに年俸は抑えられますが、もし育成制度が存在しなければ、高卒で芽が出なかった選手やトミー・ジョン手術を受けた選手は、その時点で即時解雇されるしかありませんでした。制度があるからこそ、育成ドラフトという新たなプロへの門戸が開き、時間をかけた肉体改造が可能になったというメリットは計り知れません。