事故原因として最も議論の的となってきたのが、プリウスにいち早く採用されたエレクトロシフトマチックの仕組みです。従来の機械式ストレート型やゲート式シフトとは異なり、ジョイスティックのように指先で軽く倒して操作する電子制御方式を採用しています。
このシステム最大の特徴は、レバーを「R」「N」「D」「B」のどのポジションに動かしても、手を離すとレバーが中央のホームポジションへ自動復帰する点にあります。この仕様がドライバーの心理的盲点を作り出します。
たとえば、駐車場で切り返しを行う際、ドライバーは手元のレバーの位置ではなくメーターパネルの表示灯で現在のシフトを確認しなければなりません。しかし、焦りやパニックに陥った瞬間、人間は視覚的な確認を怠り「バックに入れたはず」という思い込み(確証バイアス)に囚われます。結果として、後退するつもりで前進ギアに入ったままアクセルを踏み込み、建物や前走車に突っ込む事態が発生します。
さらに、エンジンブレーキを意味する「Bレンジ」を「バック(Back)のB」と勘違いして操作してしまう誤認ケースも、現場取材でたびたび指摘されてきた見過ごせないポイントです。