海外からの不審な着信の裏では、多層的な犯罪スキームが機能しています。警察当局および通信事業者の調査によって、国際電話詐欺の手口と真相が白日の下に晒されつつあります。手口は主に「国際ワン切り詐欺」と「自動音声ガイダンス詐欺」の2系統に大別されます。
まず警戒すべきは、ワン切り詐欺の手口と現在の動向です。着信音をわずか1〜2回鳴らして切断し、履歴を見た受信者に「何か急用だったのではないか」という心理的動揺を与えて折り返させます。折り返した先は、通信料金が異常に高く設定された海外の有料情報サービス回線や、通話料の一部がキックバックされる契約を結んだ悪質キャリアの回線です。利用者が保留音や不自然なアナウンスを聞かされている間、秒単位で高額な国際通話料金が加算され、そのマージンが詐欺グループの資金源へと吸い上げられます。
とりわけ近年、圧倒的な着信件数を記録しているのがプラス1から始まる着信の危険性です。「+1」は北米番号計画(NANP)に属する地域、すなわちアメリカ合衆国やカナダ、およびカリブ海周辺諸国に割り当てられた国番号です。日本国内でもビジネスや私用で馴染み深い国番号であるため、「知人や仕事関係の連絡かもしれない」と警戒心を解いてしまいやすい心理的盲点が突かれています。しかも、インターネット回線を利用したVoIP(音声通信)技術と「発信者番号偽装(スプーフィング)」を組み合わせることで、東南アジアや東欧の犯罪拠点からでも容易に「+1」の番号を偽造して日本の端末へ着信させることが可能です。
さらに脅威を増しているのが、自動音声ガイダンス詐欺の経緯です。電話に出ると、通信キャリアや総務省、電力会社、あるいは警察庁を騙る合成音声が流れ、「未納料金があるため、2時間後に通信サービスを停止します。オペレーターにお繋ぎする場合は1番を押してください」などと切迫したアナウンスで脅迫します。指示に従って番号を押すと、偽のオペレーターや捜査員を名乗る人物に繋がり、個人情報やクレジットカード情報、暗号資産の送金を要求される「劇場型詐欺」へと発展していきます。