SNS上では「正社員になりさえすれば全ての苦悩から解放される」という二元論的な言説が散見されますが、これは見落としがちな大きな罠です。
雇用形態としての「正社員」は確かに雇用の継続性や社会保障面での優位性を持ちます。しかし、昨今の労働環境においては「固定残業代制による長時間労働」「職務内容や勤務地が無限定であることによる突然の配置転換・転勤命令」といった負担が重くのしかかるリスクを忘れてはなりません。いわゆる「名ばかり正社員」として過酷な労働環境に拘束され、メンタルヘルスの悪化によってキャリアの中断を余儀なくされる事例も後を絶ちません。
心理学的な見地から言えば、「非正規であることの劣等感」から逃れることだけを目的に就職先を選んでしまうと、入社後に企業とのミスマッチや心理的安全性の欠如に苦しむ確率が高まります。肩書きとしての正社員を目指すのではなく、「市場価値のあるスキルが身につく環境か」「正当な評価制度が存在するか」を冷静に見定める視点が不可欠です。