Poco Ritの真意とは?通常のRitとの決定的な違いと演奏の極意について知っておくべき 注意点を分かりやすい構成で解説いたします。
演奏者が最も混乱しやすいのが、ritardandoに付随する派生語や、似た役割を持つ他の速度標語との力学的な違いです。特にritとritenutoの違いや、poco a poco ritardandoとの構造的な相違を曖昧にしたまま演奏すると、楽曲の骨格そのものが崩れるリスクを伴います。
代表的な相違点として、以下の要素が挙げられます。
- ritardando(rit.):時間をかけて徐々にテンポを遅くしていく「過程」を重視する指示。
- ritenuto(riten.):直ちにテンポを落とし、新しい遅いテンポを保つ「即時性」を持つ指示。
- poco a poco ritardando:「一歩一歩、少しずつだんだん遅くする」という意味。変化の度合いではなく、長い小節数をかけて極めて緩やかに減速していく「時間の経過」を指示する。
- molto ritardando(molto rit.):「非常にだんだん遅くする」。poco ritの対極に位置し、ドラマティックかつ劇的な減速を要求する。
- a tempo意味:「元の速さで」。poco ritなどで変化した速度をリセットし、直前の基準テンポへ正確に戻す解除サイン。
音楽用語(表記)イタリア語の原義と意味テンポ変化の目安・挙動演奏現場における注意点poco rit.
(poco ritardando)少しだんだん遅くするテンポを5〜10%程度、微小に減速させる完全に立ち止まらず、フレーズの前進力を残したまま次の展開へ繋ぐrit.
(ritardando)だんだん遅くするテンポを20〜30%程度、段階的に落とす急激に遅くせず、拍と拍の間隔を滑らかなカーブを描くように引き延ばすriten.
(ritenuto)速度を抑えて(直ちに遅く)指示された拍・小節から瞬時に遅いテンポに固定徐々に遅くするritと混同しない。段差を一段降りるようなテンポシフトを行うpoco a poco rit.少しずつだんだん遅くする数小節〜十数小節にわたり、極めて緩慢に減速最初の1〜2小節で遅くしすぎない。減速のペース配分を緻密に計算するmolto rit.
(molto ritardando)非常にだんだん遅くするテンポを40〜50%以上落とし、重厚な終止感を作るクライマックスや楽曲の最終部で使われる。音量のコントロールと打鍵の深さが必須