洋館の薄暗い地下室で過ごした495年という歳月。それは単なる監禁劇ではない。姉であるレミリア・スカーレットとの関係性は、単純な愛憎劇の定型をことごとく拒絶する。「運命を操る程度の能力」を持つ姉と、「すべてを破壊する程度の能力」を持つ妹。対をなす強大すぎる力は、紅魔館という閉ざされた箱庭の中で奇妙な均衡を保ち続けていた。
レミリアは妹を精神の不安定さゆえに幽閉したとされるが、ファンの間では長年、妹の圧倒的すぎる力から世界と彼女自身を守るための庇護策だったのではないかという議論が絶えない。感情の揺らぎ一つで外界を消滅させかねない怪物を、安全なゆりかごに囲い込む。そこには姉妹という血の軛(くびき)と、吸血鬼一族の誇りが冷徹に交錯している。