今日ではディズニー傘下のスタジオとして親しまれているピクサーですが、両者が持つクリエイティブのDNAには明確な違いが存在します。クラシックなディズニーアニメーションが「おとぎ話」「ミュージカル」「手描き作画の伝統美」を軸に発展してきたのに対し、ピクサーは創業当初から「最先端テクノロジーと普遍的な人間ドラマの融合」を掲げてきました。
ピクサー作品の最大の特徴は、劇中でキャラクターが突然歌い出すミュージカル形式を原則として排除し、脚本と会話劇、繊細な演出によって感情を表現する点にあります。また、ピクサー内部には「ブレイントラスト」と呼ばれる監督や脚本家同士が忌憚のない批評を交わし合うシステムが存在し、階級に関係なくアイデアの質を徹底的に磨き上げる独自のカルチャーを確立しました。
2006年にディズニーがピクサーを買収して以降も、ピクサー・アニメーション・スタジオはカリフォルニア州エメリービルに独自の拠点を維持し、独自の制作パイプラインと先進的な表現手法を守り続けています。CG技術を単なるギミックではなく、観客を物語へ没入させるための「筆」として扱い続ける姿勢こそが、ピクサー映画が常に高品質を維持できる理由です。