任天堂のオールスター格闘アクション『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズにおいて、ピーチ姫のスカート内部の描写は、家庭用ゲームにおける表現規制の歴史を如実に物語るケーススタディとして知られています。
2001年にニンテンドーゲームキューブ向けに発売された『大乱闘スマッシュブラザーズDX』でピーチ姫が初参戦した際、一時停止時のフリーカメラ機能を利用すると、純白のレースがあしらわれた下着がはっきりと視認できる仕様になっていました。当時は日本国内でコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)が設立される直前であり、グラフィックの3D化に伴うリアルなモデリング表現の過渡期であったことが背景にあります。
転換点となったのは、2008年の『大乱闘スマッシュブラザーズX』(Wii)および2014年の『for Nintendo 3DS / Wii U』です。CEROレーティング制度が完全に定着し、グローバルでの倫理基準が厳格化する中、ピーチ姫の足元はレースの下着から丈の長い「白いドロワーズ(かぼちゃパンツ形状の見せパン)」へと変更されました。
そして2018年に登場した『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL(スマブラSP)』では、スカート内部を覗き込もうとしても光が一切届かない完全な漆黒、通称「暗黒空間」と呼ばれる非描画処理が施されるに至りました。ディレクターの桜井政博氏が過去のコラムやインタビューで触れている通り、これは日本のみならず海外(ESRBやPEGIなど)の全年齢対象レーティングを死守し、あらゆる年齢層のプレイヤーが安心して遊べるファミリーゲームとしての品質を担保するための必然的な処置でした。