ネット広告やセール告知で目にする「東京・大阪 3,990円〜」といった魅力的な表示価格。しかし、実際に決済画面まで進むと、請求額が7,000円〜8,000円近くまで膨らんでいる経験をした利用者は少なくありません。この現象は、航空業界で「アンバンドリング(機能分離)戦略」と呼ばれるビジネスモデルに起因しています。
行動経済学でいう「ドリップ・プライシング(小出しの価格提示)」の手法が組み込まれており、消費者は最初に提示された基本運賃の安さに引き寄せられ(アンカリング効果)、その後のオプション選択で段階的に費用が加算されても、「ここまで予約手続きを進めたのだから」と購入を完了させてしまう心理傾向(サンクコスト効果)が働きます。
予約時に見落としがちなコストとして、真っ先に挙げられるのが支払手数料(決済手数料)です。クレジットカード決済の場合でも1区間・1人あたり約690円が発生し、往復ならそれだけで1,380円が純粋に上乗せされます。さらに、多くの旅行者を悩ませるのがピーチ手荷物追加料金です。機内に無料で持ち込める手荷物は身の回り品を含めて2個・合計7.0kgまでに厳格に制限されており、これを超えると受託手荷物(預け手荷物)の有料追加を余儀なくされます。
受託手荷物は予約時のオンライン申し込みであれば1個あたり約1,950円〜2,600円(路線・ゾーンによる)で済みますが、空港の搭乗手続きカウンターで超過が判明して預ける場合は、手数料が約3,000円〜3,700円以上へと跳ね上がります。往復で当日追加しようものなら、それだけで約7,000円前後の出費となり、当初の格安運賃のメリットは完全に消し飛んでしまいます。