インターネット上には、ピアスホールのケアに関して科学的根拠に乏しい情報や、かえってトラブルを悪化させる危険な俗説が散見されます。代表的な誤解を是正します。
誤解①:「マキロンなどの消毒液で毎日消毒すれば清潔になる」
これは最も多い危険な間違いです。強い殺菌消毒成分は、悪玉菌だけでなく皮膚を守る善玉常在菌まで死滅させ、さらに再生途中のデリケートな上皮細胞を破壊してしまいます。結果として皮膚のバリア機能が低下し、かえって黄色ブドウ球菌などの侵入を許して化膿やジュクジュクした浸出液の原因となります。現在、日本の形成外科や皮膚科の標準治療ガイドラインにおいても、トラブルのないホールの日常的な消毒液使用は推奨されておらず、「泡洗浄と水洗い」が基本とされています。
誤解②:「裁縫用の糸やタコ糸で代用して掃除できる」
専用のピアフロスがないからといって、家庭にある裁縫糸やデンタルフロスを通すのは極めて危険です。一般的な糸は繊維が硬く、毛羽立ちがホール内部を細かく切り裂いて傷を作ります。また、滅菌されていないため雑菌を自ら穴の奥深くにすり込む行為になりかねません。
誤解③:「掃除をするとせっかく完成した穴が塞がってしまう」
完全に上皮化(完成)したピアスホールであれば、数分〜数時間ピアスを外して掃除した程度で塞がることはありません。もしフロスを通した直後にピアスが入りにくくなった場合は、ホールが狭まったのではなく、無理な摩擦によって内部が一時的に腫れている状態です。この場合は細身の医療用サージカルステンレス製ピアス等に軟膏を薄く塗って滑らせるように装着し、数日間安静を保つ必要があります。