興味深いことに、パリやミラノのランウェイでも「和の重ね合わせ」を再解釈したコレクションが相次いで発表されている。かつて平安貴族が「十二単(じゅうにひとえ)」で季節の移ろいを袖口のグラデーションに託したように、色と色を微細に重ねる美意識は、日本人のDNAに深く刻まれた文化的一面でもある。
現代のスタイリストたちは、襟元から数ミリだけ覗くインナーの差し色や、歩くたびに揺れる裾の重なりに、緻密な美学を落とし込んでいる。それは西洋的な「引き算の美」とは対極にある、繊細な「足し算の美」の再発見と言えるだろう。