由良薫子のモチーフには、無数の目を持つ生物や、うねる触手、口を開けた怪獣のようなキャラクターが頻繁に登場します。一見するとグロテスクに思える造形。しかし、作品からは不快感ではなく、不思議な親しみやすさと温もりが放たれています。
この絶妙なバランスこそが、彼女の真骨頂です。サブカルチャー的文脈における「キモカワ(気持ち悪いけれど可愛い)」という言葉だけでは捉えきれない、生命の本質に対する深い洞察が潜んでいます。
生と死、装飾と機能、畏怖と愛着。古代の土偶や神話の神獣が持っていた怪しい生命力が、彼女の手に委ねられることで現代の陶芸として蘇る。
器としての実用性を備えたぐい呑みや茶碗であっても、その造形は手のひらの上でうごめく生き物のような錯覚を与えます。日常の道具に潜む非日常の刺激。それがコレクターを虜にする要素となっています。