野球におけるパスボールとは、走者が塁にいる状況、または打者が第3ストライクを宣告された状況において、捕手が「普通の守備を行えば捕球または処理できたはずの投球」を後方へ逸らし、打者走者や走者の進塁を許してしまうプレーを指します。漢字では「捕逸」と表記し、その読み方は「ほいつ」です。プロ野球の中継画面や新聞のスコアテーブルでは、英語の「passed ball」の頭文字を取って「PB」というスコア記号で記録されます。
この言葉の語源は、英語の動詞「pass(通り過ぎる)」と「ball(球)」が組み合わさったものであり、直訳すれば「通り抜けてしまった球」を意味します。日本の公認野球規則(Official Baseball Rules)では、規則9.13(b)において「捕逸(パスボール)」が明確に定められており、「捕手が普通の守備を行えば保持できたはずの投球を捕えそこなって、走者を進塁させた場合に捕逸を記録する」と規定されています。
ここで極めて重要なのは、「走者の進塁」または「打者走者の出塁」が成立して初めてパスボールとして記録されるという点です。どれほど捕手が派手に後逸してバックネットまでボールが転がったとしても、走者がおらずランナーの進塁も発生しなかった単なるストライクやボールの場面では、記録上の捕逸はつきません。あくまで「守備側の過失によって相手に進塁を与えた事実」が記録の必須要件となります。