2000年代初頭、映画『ラスト サムライ』で世界に衝撃を与え、日本人俳優のハリウッド映画における立ち位置を根底から変革した渡辺謙。アカデミー賞助演男優賞ノミネートという快挙は、後続の日本人表現者たちに世界への扉を開いた。その背中を、杏は誰よりも間近で、そして敢えて意識的に距離を取りながら見つめてきた。
杏は決して父親の威光を借りることなく、自らの足でキャリアを築き上げた。モデルから女優へ、そして歴史や文学への深い造詣を活かした独自のスタンス。現在、彼女がフランス映画界や国際共同製作作品のオーディションに果敢に挑み続けている姿は、かつて言葉の壁にぶつかりながらもハリウッドの頂点へと駆け上がった渡辺の軌跡と見事に重なり合う。