柴田の原点は、杉並・世田谷を拠点とした伝説的な不良グループ「宮前愚連隊」にある。十代前半から頭角を現した彼は、卓越した喧嘩の腕前と冷静な頭脳で瞬く間に頭目を務めるまでになった。暴走族の連合体である関東連合において、彼らの世代は従来のヤンキー文化を捨て去り、より都市型でドライな暴力装置へと変貌を遂げていく。
ストリートの抗争はやがて六本木や西麻布のクラブカルチャー、さらには企業舎弟的なビジネスへと侵食していった。暴力団とも一般社会とも異なる「半グレ」という特異な立ち位置を確立した彼らは、夜の街で誰もが恐れる存在へと肥大化する。だが、その無軌道な暴力の極致として引き起こされたのが、2012年の「六本木クラブ襲撃事件」だった。
金属バットを手にした集団が店内に乱入し、無関係の男性を人違いで撲殺するという凶行。この事件によって、彼らが築き上げた夜の帝国は警察当局の本格的な壊滅作戦の標的となり、一瞬にして崩壊へと向かい始めた。柴田自身はこの襲撃に直接関与していなかったものの、肥大化した組織の狂気を間近で見つめ、破滅へのカウントダウンを肌で感じ取っていた。