1995年4月23日午後8時35分頃、東京都港区南青山にあったオウム真理教東京総本部ビルの前には、連日連夜の強制捜査と教団の動向を追う100人を超える報道陣や警察官が詰めかけていました。地下鉄サリン事件の発生から約1か月が経過し、教団への包囲網が急速に狭まる最中、報道対応を終えてビルに戻ろうとした村井秀夫の前に一人の男が突如として立ちはだかりました。
男は刃渡り約27センチメートルの牛刀を取り出し、村井の腹部や胸部を執拗に刺突しました。テレビ各局の生中継カメラが回る中、悲鳴と怒号が飛び交い、現場は一瞬にしてパニックに陥りました。犯人はその場で警察官に取り押さえられ現行犯逮捕されましたが、重傷を負った村井は都内の病院へ緊急搬送され、右頸動脈切断や失血により翌4月24日未明に36歳で死亡が確認されました。
現行犯逮捕された犯人の徐裕行は、当時29歳の右翼団体構成員を名乗る人物でした。テレビの生中継映像を通じて全国に衝撃を与えたこの暗殺劇は、単なる暴力事件にとどまらず、オウム事件の全容解明を大きく阻む歴史的転換点となりました。