打撃の華やかさとは対照的に、玄人ファンを唸らせたのはマット上での緻密な攻防だ。互いに一本勝ちを狙うグラップラー同士の対決は、目に見える動きの少なさとは裏腹に、極限の緊張感が漂うマインドゲームとなった。ガードポジションからのスイープ、ハーフガードからの密着、そしてパスガードを狙う重心の移動——すべてが命取りとなる攻防が続いた。
勝敗の分岐点は最終ラウンド残り2分。疲労でわずかに上がった相手の顎を見逃さず、一瞬の隙を突いて腕十字の体勢へ。ミリ単位の位置調整と力任せではない完璧なテコ原理により、タップアウトを奪い取った。グラップリングの美学が詰まったこのシーンは、MMAにおける「寝技の奥深さ」を改めて見せつける結果となった。