コーナーが存在しない。それがドーヴィル競馬場マイルコースの最大の特徴であり、同時に最大の異質さでもある。スタートからゴールまで一切の曲がり角がなく、見渡す限りの広大な直線が広がる。騎手の手綱裁き一つ、わずかな仕掛けのタイミングのズレが命取りになる。
日本のような軽快で時計の出る芝とは異なり、ドーヴィルの洋芝は密度が高く重厚だ。開催時期の8月は天候が変わりやすく、重馬場へと悪化することも少なくない。パワーとスタミナ、そして極上の切れ味が同時に求められる残酷な舞台。ここで勝つことの意味は、単なるレースの勝利にとどまらない。