オーウェンのキャリアにおいて、世界中のフットボール界に最も強い衝撃を与えたのが、2009年夏のマンチェスター・ユナイテッドへの電撃移籍です。リバプールの至宝として愛されたストライカーが、最大の宿敵であるユナイテッドのユニフォームを着るという決断は、アンフィールドのサポーターに大きな衝撃と複雑な感情を残しました。
当時、ニューカッスルを退団してフリーとなっていたオーウェンは、古巣リバプールへの復帰を最優先に模索していました。しかし、当時のラファエル・ベニテス監督は獲得に関心を示さず、プレミアリーグのトップレベルでタイトルを争う選択肢として手を差し伸べたのが、名将アレックス・ファーガソン率いるユナイテッドでした。
さらに世間を驚かせたのが背番号の選択です。レアル・マドリードへ移籍したクリスティアーノ・ロナウドの退団に伴い空席となっていた、クラブの聖なる象徴「背番号7」がオーウェンに授与されたのです。
ジョージ・ベスト、ブライアン・ロブソン、エリック・カントナ、デビッド・ベッカム、そしてロナウドへと受け継がれてきた伝説の番号を託した理由について、ファーガソン監督は「偉大なプレッシャーに耐えうる実績と勝負強さを持った選手が必要だった」と明かしています。2009年9月のマンチェスター・ダービーにおいて、後半アディショナルタイム96分に決めた劇的な決勝ゴールは、まさに7番の重責に応えた語り草の瞬間となりました。