在宅中心静脈栄養(HPN)を実施している家庭から訪問看護ステーションに寄せられる緊急コールのうち、圧倒的多数を占めるのがカフティーポンプアラーム原因に関する相談です。「ピーッ、ピーッ」という警告音が鳴った際、まず絶対にしてはならないのは、慌てて電源ボタンを連打したり、無理にカセットを引き抜いたりすることです。
アラームが作動した際、液晶画面には必ず停止理由を示すエラーコードまたはシンボルが表示されています。最も頻度が高いのは「閉塞(OCCL)」と「気泡(AIR)」の2大トラブルです。それぞれの発生メカニズムと現場での具体的な解除法を整理します。
まず「閉塞エラー」についてです。これはポンプから患者の体内へ至るルート内の圧力が異常に上昇したことをセンサーが感知した状態です。現場で確認すべきカフティーポンプ閉塞対処法は以下の順序で行います。
- クレンメの開閉確認:輸液バッグ側、あるいは輸液ライン側の手動クレンメが閉じたままになっていないか確認します。
- ルートの物理的挟み込み・屈曲の確認:寝返りによって患者の身体の下にチューブが敷き込まれていたり、ベッド柵や衣類に挟まって折れ曲がっていないかを指先で辿りながら点検します。
- 穿刺部・フィルターの観察:ライン途中のインラインフィルターに薬剤の結晶化や沈殿物が詰まっていないか、カテーテル刺入部に腫れや痛み、逆血の凝固がないかを確認します。
ルートのねじれを解消した後、消音/復帰ボタンを押して送液を再開します。もし外観上の屈曲がないにもかかわらず即座に再発する場合は、カテーテル先端部での血栓閉塞の恐れがあるため、無理に加圧注入を試みず、速やかに主治医や訪問看護師へ連絡しなければなりません。
次に頻発するのがカフティーポンプ気泡エラーです。超音波センサーがライン内の空気を検知して自動停止する仕組みですが、肉眼では見えないほどの微細な気泡(マイクロバブル)の蓄積でも作動します。特に冬場やエアコンの風が直接当たる環境では、冷えた輸液剤が室温で温まる過程で溶存気体が遊離し、気泡化しやすくなります。対処としては、ポンプを一時停止させ、チューブを指先やペンで軽く弾いて気泡を上部のドリップチャンバー(点滴筒)へ逃がすか、シリンジを用いて慎重に空気を吸引除去する処置をとります。