視覚文化の歴史を振り返ると、ヒップラインの復権はポップカルチャーの進化と軌を一にしている。1990年代末から2000年代にかけて、ジェニファー・ロペスが見せつけた圧倒的なプロポーションは、従来の「モデル体型=スレンダー」という固定観念に風穴を開けた。彼女の躍動感あふれるパフォーマンスは、豊かなヒップこそが生命力と美の象徴であると世界に知らしめたのだ。
その潮流を決定づけたのが、キム・カーダシアンの台頭である。リアリティ番組『カーダシアン家のセレブな日常』がNetflixなどの配信プラットフォームを通じて世界中で視聴され、Instagramのフィードを彼女たちの彫刻的な砂時計シルエットが埋め尽くした。単なる流行ではない。自らの身体的特徴を資本に変え、カルチャーの頂点へと押し上げた現象だった。