文部科学省発表の最新日本食品標準成分表に基づき、カロリーと栄養素の詳細まとめを行うと、栄養学的な役割分担が浮き彫りになります。特筆すべきは、世間一般の印象と科学的データの間に横たわるギャップです。「みかんを食べれば風邪を予防できる」という通説からビタミンC=みかんというイメージが定着していますが、ビタミンC含有量の比較ではオレンジが約60mg/100gと、温州みかん(約32mg/100g)に約1.9倍の差をつけて大勝しています。美容や免疫維持のためにピュアなアスコルビン酸を補給したい場合、実はオレンジのほうが効率的な選択肢となります。
しかし、健康増進の観点で温州みかんが誇る最大の切り札がβ-クリプトキサンチンです。果皮や果肉の鮮やかな黄橙色を形成するカロテノイドの一種で、オレンジにはわずかしか含まれません。農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)の骨粗鬆症やメタボリックシンドロームに関する長期追跡調査でも、血中β-クリプトキサンチン濃度が高い群ほど閉経後女性の骨密度低下リスクが有意に低いことが証明されています。
味わいの面でも、糖度と酸味の決定的な違いが両者のキャラクターを決定づけています。温州みかんはクエン酸の含有率(酸度)が収穫期の熟成によって0.8〜1.0%程度まで減少し、口当たりが柔らかく優しい甘みが前面に出ます。一方、オレンジは糖度自体も12〜14度前後と高い数値をマークするものの、酸度が1.0〜1.4%前後と高く維持される傾向があります。甘味と酸味が双方高い次元でせめぎ合う「強烈なボディ感」こそが世界市場でオレンジが主役であり続ける最大の要因です。