日本料理の板前が必ず実践するふきの下処理は、科学的根拠に基づいた流れるような手順で構成されています。この工程を踏むだけで、仕上がりの色ツヤと食感が劇的に向上します。
ステップ1:まな板の上で塩を擦り込む「ふき板ずり」
ふきを鍋に入る長さ(約20〜25cm)に切り揃え、まな板の上に並べて大さじ1〜2程度の粗塩を振ります。手のひら全体で体重をかけながらゴロゴロと前後に転がす「ふき板ずり」を行います。この摩擦によって表面の微細な産毛が取れ、塩の脱水作用で細胞膜が引き締まるとともに、クロロフィル(葉緑素)の発色を促す下地が整います。
ステップ2:時間差投入による茹で上げと「ふき緑色色止め」
塩がついたままのふきを、たっぷりと沸騰させた大鍋に投入します。ここでの最大のコツは、茎の太い根元側を先に入れて約1分、その後に細い先端側を入れてさらに1分30秒〜2分茹でる「時間差茹で」です。全体の茹で時間は2分30秒〜3分程度に抑え、シャキシャキとした歯ごたえを残します。
茹で上がったら間髪をいれずに氷水または冷水にとり、一気に熱を奪う「ふき緑色色止め」を実行します。これにより熱によるクロロフィルの退色と酸化酵素の働きを完全に停止させ、透き通るような翡翠色を定着させます。
ステップ3:繊維を残さない完璧な「ふき筋の取り方」
冷水の中で粗熱が完全に取れたら、ふき筋の取り方に移ります。ふきの端から包丁の刃先、または親指の爪を使って皮を5mmほど起こし、外周全体の皮をぐるりと均一に剥がし始めます。そこから一握りにして反対側の端へ向かって一気に引き下ろすと、途中でちぎれることなく帯状にスーッと皮が剥けます。両端から同様に行うことで、口当たりの邪魔になる筋を100%取り除くことが可能です。
皮を剥いた後は、きれいな水に20分〜1時間ほど浸して余分な苦味を抜くふきのアク抜き方法を完了させます。苦味をしっかり残したい大人の味付けなら20分、子どもも食べる優しい味にしたいなら1時間を目安に調整してください。