現代のポップカルチャーにおいて、この言葉の思想性を鮮烈に描き直したのが、堀越耕平氏による大ヒット漫画『僕のヒーローアカデミア』です。作中では、対立する二大巨頭の特殊能力(個性)の名前として採用されています。
主人公・緑谷出久(デク)やオールマイトが受け継ぐ「ワン・フォー・オール(One For All)」は、初代継承者から歴代8人のヒーローたちが過酷な運命の中で力を培い、次世代のために託してきた「意志の結晶」です。一人が培った力をみんなの未来のために繋ぐ、利他と継承の象徴として描かれています。
対する巨悪の首領が持つ「オール・フォー・ワン(All For One)」は、他者から個性を力づくで奪い取り、自らの配下に収めて世界を支配する「強欲と独占」の象徴です。すべては自分一人の欲望のためにあるという徹底的なエゴイズムが具現化されています。
「他者のために力を紡ぐ側」と「すべてを自分一人のために集約する側」という、言葉の持つ二面性を鮮烈な対比構造へと昇華させたストーリーテリングは、世界中のファンの心を掴み続けています。