多くのメディアウォッチャーが注目したのが、日枝久取締役退任理由とその舞台裏です。日枝氏は2017年に約30年務めた代表権を返上して取締役相談役となり、その後、完全な取締役退任へと至りました。
退任の背景には、大きく分けて3つの要因が存在します。
- 視聴率の構造的低迷と業績不振:2010年代以降、日本テレビやテレビ朝日に視聴率首位の座を奪われ、かつてのフジテレビらしさが失われたことに対する株主や視聴者からの批判。
- コーポレートガバナンス・コードの導入:上場企業における取締役会の透明性向上や、相談役・顧問制度の形骸化に対する国内外の機関投資家からの厳しい視線。
- 経営陣の世代交代とデジタルシフト:地上波広告収入に依存するモデルから、動画配信やIPビジネスへの抜本的な舵切りを迫られた組織改革の要請。
当時の株主総会では、株主から「長期政権が独断専行を招いている」「相談役に退いても院政を敷くのではないか」といった厳しい追及が相次ぎました。これに対し、日枝氏は自らの引き際を見極める形で取締役からの完全退任を決断。名目上も法的一線からも身を引くことで、次世代経営陣への権限移譲を明確にしました。