日本人が親しんでいるおみくじの原型は、平安時代の高僧である元三大師(良源)に遡る。比叡山延暦寺の座主であった良源が、人々を救済し進むべき道を示すために創始した「元三大師百籤」が、現在の寺社に伝わる神籤の礎となった。当時は個人の吉凶のみならず、国家の命運や後継者選びといった重責を担う神聖な儀式であった。
神道・民間信仰が長い年月をかけて混ざり合う中で、神仏の意志を伺う行為は庶民の生活へと浸透していった。「待ち人」という概念も、元々は人生の節目において自らを助け、教え導いてくれる存在、あるいは音信不通となった大切な人物の帰還を待つ切実な祈りから生まれたものだ。単なる色恋沙汰の行方ではなく、「自らの人生を前進させるために必要な他者」全般を意味していた点に、この言葉の本質がある。