百樹園の成り立ちを紐解くと、日本の近代化とともに歩んできた緑地形成の壮大なドラマが浮かび上がる。樹木園(Arboretum)としての機能美を兼ね備えたこの地には、かつて水戸藩主・徳川斉昭が唱えた「山林を尊び、有用植物と美観を共存させる」という種樹の思想が色濃く息づいている。斉昭が後世に残した緑化への情熱は、時を超えてこの園の設計理念へと受け継がれた。
さらに、近代植物分類学の父である牧野富太郎が残した調査資料や足跡も、園内の随所に見受けられる。牧野が愛した日本の固有種や野性味を残す銘木群が、人為的な作為を感じさせない自然な配置で植栽されており、一歩足を踏み入れるごとに学術的価値の高さに圧倒される。