早稲田大学理工学部で長年教鞭を執り、学問の第一線で研究を重ねてきた物理学者・大槻義彦氏。彼がお茶の間の顔となった契機は、1990年代から2000年代にかけて隆盛を極めた民放の討論番組だった。
とりわけテレビ朝日系列で放送された『ビートたけしのTVタックル』や、年末恒例の特番『ビートたけしの超常現象(秘)Xファイル』での立ち振る舞いは鮮烈そのものだった。怪しげな心霊写真、スプーン曲げ、異星人によるアブダクション。スタジオを埋め尽くすオカルト信奉者たちの熱弁に対し、「全部イカサマだ」「トリックを証明してみろ」と机を叩いて一喝する姿は、視聴者に強烈なカタルシスを与えた。
番組の司会を務めたビートたけし氏の絶妙な采配によって、科学とオカルトの対立は上質な知的エンターテインメントへと昇華された。眉唾ものの主張を一方的に垂れ流すのではなく、最高峰の知性が真っ向から否定しにかかる構図。そこには、予定調和を嫌う昭和・平成のテレビ番組が持っていた特有の熱量があった。