高校の同級生として1965年にコンビを結成し、1980年代の漫才ブームでは若手実力派として名を馳せた二人が、なぜそこまで憎しみ合うようになったのか。取材記録と本人の手記から浮かび上がるのは、50年以上にわたって堆積した微細な感情の歪みと、決定打となった2015年の漫才協会選挙事件です。
長年のマネジメント方針やネタ作り、金銭感覚を巡る相違は若い頃から燻っていました。社交的で自己顕示欲が強く情に厚いおぼん師匠に対し、几帳面でクール、プライドを内に秘める職人気質のこぼん師匠。性格が正反対の二人は、売れっ子時代からプライベートでの交流を断つことでバランスを保っていました。しかし、2015年に転機が訪れます。一般社団法人漫才協会の理事改選選挙において、副会長を務めていたおぼん師匠の処遇や投票行動を巡り、両者の間で決定的な亀裂が生じました。
おぼん師匠サイドは「長年連れ添った相方なら当然自分を最優先で支持してくれるはずだ」と期待し、こぼん師匠サイドは「協会の将来を見据えた組織人としての公正な一票を行使したまでだ」と主張。この投票行動の食い違いを契機に、「あいつは俺を軽視した」「いや、お前の押し付けがましい態度に耐えられない」と、半世紀分の鬱憤が一気に爆発しました。以後は挨拶すら交わさなくなり、周囲の芸人や家族が仲裁を試みるも、意地とプライドが邪魔をして関係修復の糸口は完全に失われていきました。