「オーベルジュ(Auberge)」はフランス語を語源とする言葉で、直訳すると「郊外の宿泊施設付きレストラン」や「宿屋」を指します。その発祥は中世ヨーロッパにまで遡りますが、現代的なスタイルとして確立されたのは20世紀のフランスです。
当時、ミシュランガイドの普及や自家用車の普及に伴い、パリなどの大都市から地方の名店へ足を伸ばす美食家が増加しました。しかし、地方のレストランで極上の料理とワインを堪能した後、夜遅くに長距離を運転して帰宅するのは困難を極めます。そこで、「美味しい料理とワインを心ゆくまで味わい、そのまま敷地内で眠りにつく」という贅沢を叶えるために生まれたのが、宿泊施設を併設したオーベルジュでした。
日本国内においては、1980年代半ばから箱根や軽井沢、伊豆などの高原リゾート地を中心に広がりを見せました。現在では、単なる宿泊付き飲食店にとどまらず、その土地のテロワール(風土・食材・文化)を五感で味わい尽くす「ガストロノミーツーリズム」の中核として進化を遂げています。