男性からの好感度が高いとはいえ、女性自身にとっては動悸や息苦しさを伴うことも多いこの現象。そもそも、なぜ少量のアルコールで皮膚が赤くなってしまうのでしょうか。その背景には、東アジア人に特異的に見られる遺伝的なお酒で顔が赤くなる理由が存在します。
医学的に、飲酒に伴って顔面や首元、全身が紅潮する現象は「アルコールフラッシング症候群(フラッシング反応)」と呼ばれます。体内に入ったアルコール(エタノール)は、主に肝臓で代謝されて「アセトアルデヒド」という中間代謝物質へと変換されます。このアセトアルデヒドは極めて毒性が強く、血管を急激に拡張させる作用を持っています。顔面の毛細血管が一気に拡張して血流が滞留することで、皮膚を通して血液の赤さが透けて見えるのが赤ら顔の直接的な原因です。
通常、このアセトアルデヒドは「アセトアルデヒド分解酵素(特にALDH2:2型アルデヒド脱水素酵素)」の働きによって速やかに無害な酢酸へと分解され、最終的には水と二酸化炭素になって体外へ排出されます。しかし、日本人の体内におけるALDH2遺伝子の働きには明確な個人差が存在します。医療機関の解説や公衆衛生学のデータによると、日本人の約40〜45%はALDH2の働きが弱い「低活性型」、約5〜10%は全く働かない「非活性型」であり、人口のほぼ半数が生まれつきのフラッシャー体質であることが判明しています。
欧米系の白人や黒人の大半が「活性型(高活性)」であり、いくら飲んでも顔が赤くならないのに対し、黄色人種にフラッシャー体質が集中している現象は世界的にも知られています。自分がどの体質に属しているかは、医療機関に行かずとも自宅で市販の消毒用エタノールを用いて行うアルコールパッチテストによって簡単に推測できます。薬剤をしみこませたガーゼを腕の内側に貼り、数分後に皮膚が赤くなるようであれば、アセトアルデヒド分解酵素の働きが極めて弱い証拠です。