世界的な食習慣の見直しに火をつけたのが、Netflixで世界中に配信され大きな波紋を呼んだドキュメンタリー映画『健康って何?(What the Health)』だ。この作品では、動物性食品産業と公衆衛生機関の癒着に切り込むと同時に、乳製品に含まれる成分の病原性が克明に描かれた。
学術的根拠の主軸となったのが、コーネル大学のT・コリン・キャンベル(T. Colin Campbell)博士による記念碑的研究「チャイナ・スタディ」である。キャンベル博士は実験を通じ、牛乳に含まれる主たるタンパク質であるカゼイン(Casein蛋白)が、がん細胞の増殖プロモーション(促進)に強く関与することを発見した。動物実験において、カゼインの摂取比率を操作するだけで、がん巣の拡大と縮小をコントロールできるというデータは、医学界に激震を走らせた。
世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関(IARC)の報告や複数のコホート研究でも、乳製品の過剰摂取と前立腺がん、あるいは卵巣がんのリスク上昇との関連性が指摘されている。牛乳に含まれるIGF-1(インスリン様成長因子1)というホルモン様物質が、細胞分裂を異常に促進する引き金となる点も、現代の分子生物学が暴き出した不都合な真実の一つだ。