昭和から平成初期にかけて、結婚とは女性にとって「生活の安定と引き換えにする経済的契約」という側面を色濃く持っていた。女性が自身より高年収・高学歴の男性と結婚する「上方婚」が常識とされ、男性は一家の大黒柱としての重圧を背負うのが通例だった。
家族社会学の第一人者である山田昌弘教授が長年指摘してきたように、かつての日本型家族モデルは右肩上がりの経済成長と終身雇用を前提に成立していた。しかし、厚生労働省の各種統計を見ても明らかな通り、実質賃金の伸び悩みや非正規雇用の拡大によって、かつてのような「妻子を一人で養える高収入男性」の割合は絶対的に減少している。
一方で、総合職としてキャリアを重ね、男性と同等以上に稼ぐ女性が急増した。経済力を持つ女性にとって、相手に過度な経済力を求める必然性は薄れつつある。「男が稼ぎ、女が家庭を守る」という画一的な上方婚モデルは限界を迎え、パートナー選びの軸足は劇的な転換を遂げている。