公式に「この曲を歌ってはならない」と記されたブラックリストの冊子が存在するわけではない。しかし、制作現場には暗黙のうちに共有される明確な選別ラインがある。
最大の関門は「特定企業名・商品名の連呼」だ。公共放送である以上、商業広告と受け取られかねない歌詞には極めて慎重な判断が下される。かつて昭和の時代、山口百恵の楽曲で歌詞中の車名が改変を迫られた逸話は有名だが、現代でも過度なブランドアピールや露骨な宣伝色を含む楽曲は、選考の土台にすら乗りにくい。
さらに、過激な暴力描写や公序良俗に反するスラング、反社会的なメッセージを含む楽曲も即座に弾かれる。家族が茶の間で囲む日曜昼の食卓にふさわしいか否か。その倫理的フィルターは、世間が想像する以上に緻密で厳しい。