かつての彼は、まさにエリート街道のど真ん中を歩んでいた。早稲田大学を卒業後、1999年に日本放送協会へ入局。落ち着いた低音ボイスと的確な描写力、臨場感を損なわない絶妙な間合いは、視聴者のみならず局内でも群を抜く評価を得ていた。
特に彼が真価を発揮したのは大相撲中継やフィギュアスケート中継である。2018年のピョンチャンオリンピックでは実況アナウンスを担当し、日本中が息を呑んだ名勝負を言葉で紡ぎ上げた。スポーツアナウンサーとしての力量は折り紙付きで、NHK札幌放送局へ異動した後も、全国放送の現場から声がかかり続けるほどの存在感を保っていた。職人気質の実力派。周囲の誰もが彼をそう信じて疑わなかった。