言葉の強さを支えているのは、言うまでもなく高橋真梨子の唯一無二の歌唱力である。ハスキーでありながら艶を帯びた低音から、解き放たれるような高音へのドラマチックな転換。哀愁と情熱が同居する声の質感は、聴く者の耳を逃がさない。
さらに、鈴木キザブロウによる哀切を帯びたメロディラインが見事に噛み合う。歌謡曲の伝統的な哀愁と、洗練されたシティポップ的なコード感が融合したサウンドトラックは、30年以上が経過した現在でも一切古びていない。天才たちが火花を散らしたセッションの記憶が、音の粒となって聴き手を打ちのめす。