膨大な説のなかでも特に有名なのが、宗教的テキストや哲学書と照らし合わせるアプローチだ。「新約聖書説」や「キリスト説」では、彼の不可解な言動や姿を消した顛末を聖書記述のメタファーとして解釈する。あるいは、複数の実在人物の映像が編集によって合成された存在であるとする「人物重複説」など、SF的アプローチを試みる者も絶えない。
これらの言説に共通するのは、強引なこじつけでありながら、論理の展開過程に一定の数学的・言語学的な美しさが提示されている点だ。提示される証拠のくだらなさと、論文を思わせる厳密な形式美のギャップ。それこそが、観客を惹きつけてやまない娯楽としての本質である。