現在20代以下の若い世代にとっては「SNSのネタ音源」や「強烈なミーム」として認知されているこの言葉ですが、元ネタは2000年代中盤の実在のテレビ番組にあります。当時、TBS系『ズバリ言うわよ!』やフジテレビ系『幸せって何だっけ〜カズカズの宝話〜』などで、細木数子は最高視聴率25〜30%を叩き出し、日本中のテレビ視聴者を文字通りひれ伏せさせていました。
なぜ、公共の電波で相談者に対して「地獄に堕ちるわよ」と言い放つ占い師が、国民的人気を獲得できたのでしょうか。当時の芸能記者や番組関係者の証言を総合すると、その背景には「失われた10年」による国民的不安と、テレビ界が求めた過激なカタルシスが存在していました。
手記や過去のインタビューアーカイブを検証すると、細木数子は相手が国民的アイドルであれ大物俳優であれ、一切の忖度なしに私生活の乱れや先祖供養の不足を痛烈に罵倒しました。その後、「あんた、私の言うことを聞きなさい」と母性的な抱擁や人生指南をセットで提示する。この急激な心理的揺さぶり(恐怖による服従と救済の提示)が、将来の見えない閉塞感に苦しむ視聴者の心を鷲掴みにしたのです。
しかし、ドラマ『地獄に堕ちるわよ』はその栄光だけを美化しません。背後で動いていた莫大な鑑定料、高額な墓石の販売、そしてテレビ局員たちが視聴率至上主義のもとで彼女の暴走を煽り立てていた「システムの共犯関係」を、魚澄という客観的な記者の視点から容赦なく解剖しています。