この特異なブラシを語る上で外せないのが、開発者である西尾秀俊氏の存在だ。長年にわたりデンタルケア用品の設計と向き合ってきた同氏が辿り着いた結論は、「どんなに磨き方を指導しても、一般生活者が正しい角度と力加減で磨き続けるのは極めて難しい」という現場のリアルだった。
道具側が人間の技術不足を補うべきだという逆転の発想から、独自の「ピラミッド形状」が誕生した。中央に向けて段階的に毛足が長くなる3段構造は、熟練の職人技と精密な製造技術が融合して初めて量産が可能となったものだ。外側の短い毛が歯の表面を包み込み、中央の長い毛が隙間深くまでダイレクトにアプローチする。
開発期間中には何百通りものカットパターンや毛の硬さの組み合わせが試作されたという。西尾氏の妥協なきクラフトマンシップが、奇跡という名を冠するにふさわしい機能性を生み出した。