伊集院静の人生を語る上で欠かせないのが、生涯を通じて深く愛した女性たちとの物語です。中でも女優・夏目雅子との出会いと別れは、彼の人生を決定づける悲劇でした。
1984年、7年におよぶ交際を経て二人は結婚。美男美女のカップルとして祝福されたものの、幸せな新婚生活はわずか1年で暗転します。1985年、夏目雅子は急性骨髄性白血病を発症し、27歳の若さで帰らぬ人となりました。
最愛の妻を失った喪失感から、伊集院は酒とギャンブルに溺れ、荒海のような無頼の生活へと身を投げます。そんな失意のどん底にあった彼を救い、作家としての再起を支えたのが、1992年に再婚した現在の妻・篠ひろ子でした。
篠ひろ子は夫の破天荒な気質を深く理解し、活動拠点となった仙台の地で家庭をしっかりと守り続けました。夏目雅子の思い出を胸に抱き続ける伊集院を受け止め、静かに寄り添い続けた彼女の存在なくして、後年の名作群が生まれることはなかったはずです。