日本列島は、知られざる「汁のモザイク地帯」だ。いまSNSを中心に激しい議論を巻き起こしているのが、地域ごとの圧倒的な解釈の違いである。
新潟・妙高周辺のスタイルは強烈だ。水をほとんど使わず、大量のタマネギから出る水分と豆腐の水分だけで豚肉を煮込む。圧倒的な甘みの奔流。一口啜れば、一般的な味噌汁の概念が音を立てて崩れ去る。一方、九州・鹿児島へ飛べば、麦味噌とサツマイモが醸し出す野趣あふれる甘美なコクが胃壁を包む。山形では里芋が主役を奪い、北海道では仕上げに落とされるバターの黄金色の油膜が極寒の冷気を遮断する。単一のレシピに縛られないこの可変性の高さが、各地の食文化を再発掘する格好のエンターテインメントとして消費者を熱狂させている。