存置を支持する人々が挙げる死刑制度の賛成理由は、単なる感情論にとどまらず、法秩序と社会防衛の観点からも組み立てられています。主に以下の3点が決定打となっています。
第一の理由は、被害者感情と応報感情の救済です。理不尽に命を奪われた被害者の無念と、残された遺族の深い絶望に対し、加害者が生かされ続けることへの強い不条理感が存在します。法が仇討ちを禁じる近代国家において、国家が代理として相応の報い(応報)を与えなければ、遺族の処罰感情は置き去りにされてしまいます。
第二の理由は、死刑が持つ犯罪抑止力への期待です。命を奪われるリスクという最大の恐怖が、無差別殺人や計画的凶悪犯罪を踏みとどまらせる心理的防壁として機能しているという考え方です。抑止効果の統計的実証には議論があるものの、「死刑がなければ凶悪犯罪が増加する」と考える国民は少なくありません。
第三の理由は、社会防衛と再犯防止の確実性です。極悪非道な犯罪者が将来的に社会へ復帰し、再び罪を犯すリスクを根絶すべきだという現実的な要求が、死刑制度の存置論を強固に支えています。