20世紀後半、利他行動の解明に大きな旋風が巻き起こった。名著『利己的な遺伝子』で知られるリチャード・ドーキンスらの主張は、個体レベルの自己犠牲が、遺伝子レベルでは自らの複製確率を高める利己的戦略になり得ることを鮮やかに解き明かした。
オックスフォード大学をはじめとする世界の主要研究機関は、血縁淘汰説や互恵的利他行動理論を通じて、集団内での協力関係がいかに生存確率を引き上げるかを実証してきた。一見すると無償に見える手助けも、長期的な協力関係の維持や集団の存続という観点からは、極めて精巧に計算された生存適応の形にほかならない。