多くの人が抱く「意志が弱い人が騙される」という認識は、根本から間違っています。カルト的な新興宗教がターゲットにするのは、むしろ真面目で責任感が強く、現状に強い悩みや向上心を持っている人物です。仕事の挫折、家庭内の不和、健康への不安など、人生の岐路で心が揺らいでいる瞬間に巧妙に入り込んできます。
典型的な新興宗教の特徴として、教義の絶対視とカリスマ的指導者への盲従が挙げられます。信者を引き込むプロセスでは、まず相手の存在を無条件で全肯定する「ラブ・ボミング(愛情のシャワー)」と呼ばれる心理テクニックが多用されます。居場所を見つけたと安心させた後、徐々に「外の世界は悪に満ちている」と刷り込み、外部の人間関係を遮断させていく手口です。
こうした心理誘導を受けると、本人は「自分で選んで信じている」と錯覚するため、第三者からの客観的なアドバイスを「信仰を邪魔する悪魔の誘惑」と捉えるようになります。この強固な認知の歪みこそが、一度足を踏み入れると自力での脱出が極めて困難になる本質的な理由です。