従来のJ-POPにおける恋愛ソングといえば、「想いは必ず届く」という純愛か、あるいは「別れた過去への哀歌」が主流だった。しかし、藤原聡(Vo/Pf)が綴った視点はそのどちらでもない。「好きだけれど、自分は相手の『最愛の人』にはなり得ない」という、極めて残酷でリアルな自己認知である。
この「引くことで相手の幸せを願う」とも「開き直り」とも取れる絶妙な心の揺らぎが、現代人のドライかつ繊細な恋愛観に見事に合致した。主人公の独白はどこまでも客観的でありながら、内面には激しい情熱が渦巻いている。この落差こそが、聴く者の心を揺さぶる第一の要因だ。