デジタルイラストにおける雲の表現は、大きく分けて「アニメ風(セルタッチ背景)」と「リアル・厚塗り風(フォトリアル/コンセプトアート)」の2つの流派に分かれます。両者の違いを理解することで、目指す作品の作風に応じた最適な筆致を選択できるようになります。
アニメ風の背景(新海誠監督作品や京都アニメーション作品などに見られる鮮麗な夏空)では、「明快なシルエットと鮮度の高い色彩対比」が最優先されます。影の階調は2〜3段階程度に抑え、明暗の境界線をあえてパキッと硬く残すことで、抜けるような夏の快晴感を強調します。彩度をあえて落とさず、影色にスカイブルーやパープルを大胆に配置するのがアニメ調の醍醐味です。
一方、入道雲の厚塗りにおけるコツは、「エッジの硬軟のコントロール」と「光の透過感の描写」にあります。すべてを柔らかく塗るのではなく、風を受けて圧縮された前進面はナイフで削ったようなハードエッジにし、風下へ流れる後背部はぼかしツールで空気中に溶け込ませます。さらに、白の中にわずかに混ざるオリーブグリーンや淡いピンクなどの微妙な中間トーン(固有色)を筆跡を残しながら塗り重ねることで、重厚な質量感を演出できます。