動物医療の現場において、獣医師が強い関心と警鐘を鳴らし続けているのが、スコティッシュフォールドをはじめとする特定品種の立ち姿や座り方です。折れ耳が特徴のスコティッシュフォールドは、耳の軟骨だけでなく全身の骨軟骨の発育に異常をきたす遺伝性疾患「骨軟骨異形成症(Osteochondrodysplasia)」を発症しやすい傾向があります。
この疾患を発症した猫は、手足の関節に骨瘤(こつりゅう)と呼ばれる硬い骨の塊が形成され、歩行時や体重負荷時に激しい慢性疼痛を感じます。人間のように腰を下ろしてお腹を前に出すいわゆる「スコ座り」や、前肢を浮かせて後肢のみに体重を預ける立ち姿は、痛む関節や肉球への接地圧を少しでも回避しようとする「抗痛姿勢(こうつうしせい)」であるケースが臨床上報告されています。
「二本足で立っていて人間みたいで可愛い」と動画を撮影してSNSに投稿している飼い主のなかには、愛猫が発しているサイレントな痛みのサインを見落としている例も少なくありません。歩き方にぎこちなさ(跛行)がないか、高いところへのジャンプを極端に嫌がらないか、日常的な歩様観察が極めて重要です。