X(旧Twitter)をはじめとするSNS空間では、俳優やアイドルがカメラの前で見せる表情に対して日々無数の言及がなされています。なかでも定期的に数万件規模の拡散を記録するのが、すっきりとした目元を持つ「塩顔男子」が突如として見せる満面の笑みです。
坂口健太郎氏や高橋一生氏、綾野剛氏らに代表される塩顔の表現者たちは、普段の静止画やシリアスな演技において、どこかミステリアスで感情を読ませないクールな雰囲気を漂わせています。しかし、トーク番組や舞台挨拶などで何気ない瞬間に目を細め、顔全体にしわを寄せて少年のような快活さで吹き出すと、ネット上では「あのギャップで完全にやられた」「普段の冷涼な空気との落差が凄まじい」といった熱狂的なリアクションが巻き起こります。
これは心理学でいうゲインスト・ロス効果(得失効果)の典型例です。最初から愛嬌を前面に出している人物よりも、一見すると近寄りがたいクールな印象を持つ人物がふいに見せる感情の爆発のほうが、受け手に与えるプラスの落差が格段に大きくなります。無機質な美しさが一瞬で体温のある生身の人間に変貌する刹那に、観察者は抗いがたい「ギャップ萌え」を体験するのです。
女性芸能人においても同様の現象が観察されます。新垣結衣氏や吉高由里子氏がバラエティ番組などで見せる、口元を手で隠すことなく顔を歪めるほどの自然な笑い方は、同性層からも「裏表がなくて信頼できる」「あざとさが微塵もない」と熱烈な支持を獲得しています。飾られた美しさよりも、感情に素直な生身の姿こそが現代の共感を生む最大の要素です。